ディープ・フォレストやエニグマに対する南半球からの回答… それがオーストラリアから生まれた超自然派&近代的なプロジエクト、ゴンドワナ
音の才人チャーリー・マクマーンを中心に繰り広げられるランドスケイプミュージックは、荒涼とした風景を連想させるのと共に、 原子と原子をつなぐキーワードにもなり得る存在である。 −山田道成−

「チャーリー・マクマーン」
チャーリー・マクマーンは、オーストラリアNo.1のディジユリドゥー奏者。 ゴンドワナランドというバンドを組み、オーストラリアの民族楽器ディジュリドゥーを前面に押し出し、アンビエントニュー・エイジ・サウンドに近いイメージを持って、太古の大陸のイメージした音楽作りを開始 した。93年にメンバーチェンジがあり、それがきっかけで以後チャーリーのソロ・プロジェクトとなった。 97年、音楽的な違いを明確にすることを目的に、その名前をゴンドワナと改め、音楽的にも単純にディジュリドゥーを中心 とした音楽スタイルからより新しい方向へと発展。 ディジュリドゥーを改良して作り上げた新しい楽器「ゼノフォン」を使用して、アルバム「ゼノフォン」を発表。ドラムン・ベースなどの要素も取り入れ、これまでとは明らかに異なる指向となった。このアルバムは98年のARIA Awardsにおいてベスト・インディジネス・アルバムにノミネートされた。 ゼノフォンをメインに繰り広げられる音楽は、過去と未来を完全に一体化。超自然的な響きと最新のスタイルがひとつになり、独自の世界を生み出している。

アボリジニの民族楽器「ディジユリドゥー」


オーストラリアのブッシュの中に生えるユーカリの木。その内側を白蟻が食い荒らし、空洞化した木を利用して作るディジュリドゥー(イダキなど別の呼び名もある)は、 アボリジニが大陸に渡って生活し始めた2〜4万年以上も前から、 多くの種族が使用する世界最古の木管楽器である。独特な循環呼吸を用いて生み出されるその音は、太古のシンセサイザーとも言うべきもので、音階はないが自然と一体化し、体内にまで響きわたるスピリチュアルな感覚を持っている。 チャーリーは白人の中でもいち早くこの楽器をマスター。 しかも、ロックという音楽に導入したのはアボリジニの誰よりも先だったという。

山田さんが語るチャーリー・マクマーンの魅力
チャーリーは、ホワイトオーストラリアとしてのディジュリドゥーのトッププレイヤーです。
ディジュリドゥーは、アボリジニの楽器でおもしろいんだけど、チャーリーは白人であり、ネイティブな楽器をネイティブな人がやるという所とは違った所から始まっています。これはR&Bの歴史の中でも同じ様なことがあったかと思います 彼は、シドニー大学で地質学を学び、社会学と都市計画の教師の資格を取得。政府からアボリジニ文化のアドバイザーに任命され、それを契機にアボリジニのコミュニティ作りのためにブッシュに入り込んでいき、そこから吸収した自然のエネルギーを形にしようと考えました。現在、ワールドミュージックと呼ばれているものは、もとは古来のものだけど、ディジュリドゥーはおもしろい楽器でロックにも使えるということを、チャーリーは初めて実証しました。その後、逆にアボリジニのロックバンドが自らの演奏にディジュリドゥーを取り入れていった経緯があります。 チャーリーは、様々な方面で活動し、特に有名なのがミッドナイト・オイルとの関係で、ツアーに準メンバーとして参加し、84年に発表された「RED SAILS IN THE SUNSET」でもプレイ。また、古くはタキシード・ムーンやレジデンツ、ジョナサン・リッチマン、ディジー・ガレスピーといった海外のアーティストと共演。ポール・ケリーやエンジェルス、デフFXといった オーストラリアのアーティストのアルバムにもゲスト参加。さらにメル・ギブソンの代表作でもある「マッドマックス3・サンダードーム」や様々な映画のサウンドトラックでもプレイ。 88年、オーストラリアの建国2百周年を記念してシドニー湾で行われた富田勲氏の監修によるイベント「サウンド・クラウド・イン・シドニー」に出演。
1989年にはARBのレコーディングにゲスト参加。91年にヴィム・ヴェンダース監督の映画「夢の涯てまでも」では、ブッシュのガイド兼ドライバー役で出演しています。
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