Disco Time machine - Back

ナイル・ロジャース & シック
Apr. 16th 2006 ブルーノート東京

Intro 在りし日のSoul Inn CHAIHANEでの会話・・・
M: Mt.Fuji Jazz Festivalに行ったんだけど、次回はぜひ一緒に行きましょう。仕事休み取ってくださいね。
D:遠方のライブはなかなか行けないんですけど、どなたが出演されていたんですか?
M:インコグニート、AWB、 CHIC、マーカス・ミラーなどです。一番良かったのは誰だと思いますか?
D: Mt.Fuji Jazz Festivalだからマーカス・ミラーですか?
M:CHICです。CHICは最高でした。一度ライブご覧になると良いです。
D:Mt.Fuji Jazz FestivalでCHICですか!そういえば、この店CHICのレコード無いですね。CHICは沢山レコード持っているから、持ってきますよ。
M:店でかけて下さいよ。楽しみにしています。週末、仕事忙しいからってサボらないで下さいね。電話入れますよ。
D:すんまそん・・・って、聞こえてるかい・・・・

今年、グラミー賞でのスライ・トリビュートで、スライ・ストーン、スティーブン・タイラー、ジョー・ペリーなどと楽しそうに演奏を披露していたナイル・ロジャースの公演は、期待以上のものだった。

Aw Freak Out!
白の装いで、Nile Rodgers & CHIC登場
“Chic Cheer”
大成功した78年セカンドアルバム“C`est CHIC”最初の曲。アルバム同様、ざわめきと共に一挙に期待感で会場が盛り上がる。ブルーノートはどの席で聴いても抜群に音が良い。
“Dance Dance Dance (Yowsah, Yowsah, Yousah)”
77年のアルバムCHICからのデビューヒット。この曲が出た頃は、ジャケ写は洒落たモデルの写真のみだったし謎のバンドだったなあ。Top40で急上昇して情報が伝わってくるまではヨーロッパのバンドかと思っていましたよ。十代の頃を想う遠い目をしながらステージを望むと、のっけからCHICの今を見せ付けられた。お洒落でエレガントどころじゃありません。
Nile Rodgersのギター・カッティングはワイルドでファンキー、そして野太くJerry Barnesのスラップ・ベースが絡んでくる。
“I Want Your Love”
79年のアルバム“C`est CHIC”からの大ヒット。ディスコやカー・ラジオで何度となく繰り返し聴いた思い入れの深いメロディー。生で聴けるとは、この瞬間、倒れそうになった。Sylver Logan Sharpの力強いハスキーなボーカルは正にR&B的で魅力的だ。Omar Hakim のドラムスは勿論素晴らしいのだけれど、Gerardo Velezのパーカッションが実に良く、曲のツボでシンバルやタンバリンを使っての派手なパフォーマンスを演じながらも、タイトに鋭くパーカッションを叩き出している。
“My Forbidden Lover”
79年のアルバム“Risque”より“My Forbidden Lover”で、既に会場はいつものブルーノートとは全く違う絶頂に達していた。CHIC全開のキメのフレーズのリフレインが心地よい。
“At Last I am Free”
アルバム“C`est CHIC”から、ゆったりとしたスローバラッド。ブルーノートならではの雰囲気に戻る。CHICはディスコで火が点いた為に、当時は誤解されがちだったが、JAZZ, R&B, ROCKなど音楽のジャンルを超えた存在であることを痛感した。Bill Hollomanのサキソフォンが冴え渡った。

Nile Rodgersが数々のアーティストと組んだ話を交えながら、ヒット・メドレー。“I’m Coming Out”, “Upside Down”, “He is The Greatest Dancer”, “We are Family”、ご愛嬌で“Like a Virgin”はサワリだけ。曲によって、声質の異なるSylver Logan SharpとJessica Wagnerがリードボーカルを代わる。Sylver Logan Sharpのハスキーなボーカルも素敵なのだが、“I’m Coming Out”は曲調からJessica Wagnerのリードボーカルとなる。可愛らしく、そして実に上手い。

ここで徹底したファン・サービス。今夜が、今回最後のステージとなる為、ギターコンテスト開催となった。毎回のステージで選ばれた優秀なギター・プレイヤーが5名会してその優勝を競うという趣向。Nile Rodgersの“1,2 Aw Freak Out! ,Le Freak!, So Chic!”の掛け声と共に、自慢のギターテクニックを披露。演奏後、会場の拍手で優勝者を決定、優勝者にはNile Rodgersのギターがプレゼントされた。また、女性で唯一参加された方も大変素晴らしかった為、Sylver Logan Sharp とNile Rodgersの粋なはからいで、後日NYより送られる事となった。

“Good Times / Rapper’s Delight”〜 “Le Freak”
アルバム“Risque”、 “C`est CHIC”からの最強ヒット。
“Now what you hear is not a test, I’m rappin to the beat….”
Beginning of The Hip Hop 、Nile Rodgers自らRapper’s DelightでRapするとは驚愕。この辺まで来ると、僕はもう酩酊状態で・・・
“hotel motel what do you gonna do today,  S A Y  W H A T ? ”なんて一緒に歌っていた。(分かるとこだけ・・・)

そして、彼らのエンタテインメントに徹した姿勢は本当に脱帽ものだった。信じられないことに写真撮影OKの時間帯を取ったり、演奏に合わせてSylver Logan Sharpを先頭にファンが会場全体を周回したりするなんて素晴らしい演出。アーティスト側と会場側の特別な配慮、そして聴衆も参加したブルーノートならではの夜となった。

Nile Rodgers & CHIC

Nile Rodgers(g,vo),
Sylver Logan Sharp(vo) ,
Jessica Wagner(vo),
"Sweet" Cherie Mitchel(vo,key),
Bill Holloman(tp,sax),
Steven Jakowski(tp),
Rich Hilton(key) ,
Jerry Barnes(b),
Omar Hakim(ds) ,
Gerardo Velez(per)

気になったのが、ライブ前にロビーで見かけた女性を、Nile Rodgersが、「今日はCHICのオリジナルメンバーが来ているんだ」と紹介、ステージで若干歌ったのだが、名前が聞き取れなかった。ライブ終了後、ほんの少しだけNile Rodgersとお話することができたので聞いてみた。アルバム“C`est CHIC”を見せると、「これが俺だよ、分かるかい?」と矢印で示してくれた。「ステージでご紹介されていたオリジナルメンバーの方の名前が聞き取れなかったので教えて欲しい」と言うと、おもむろに、アルバムを裏返して、「Diva Grayだよ。彼女はCHICのオリジナルメンバーなんだ。ほらここに書いてあるだろう。そう、この時はLuther Vandorossも参加したんだ。」

今年は、CHIC新作の噂も。