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Live Report

パーラメント / ファンカデリック 東京JAZZ

 昨年の東京JAZZ では、スライのライブを観る事ができた東京国際フォーラム。
2006年2月にジェイムス・ブラウンの最後の来日公演を観たのも此処であり、JB、スライ、Pファンクといった流れというか因縁めいたものを感ずる場所だ。この流れで行くと、ロジャー、リック・ジェイムスといったあたりは今こそ観たい所であるが、それはかなわぬ夢となってしまった。

 ここ数ヶ月間、延々と期待させてくれました。当方とSista の会話ループ
「今回、これだけで来るみたいだけど本当に来るの?」「遂にTシャツにアイロンプリントをする日が来た!」「オムツは紙なの?布なの?」「汗かくから吸水性の良いものでないと・・・」「布ならば柔らかいものでないとゴワゴワしてつらかろう・・・」「花嫁は来るの?」「パーラメントの曲がメインなの?ファンカデリックの曲がメインなの?」「だいたいどう違うんだっけ?」「どっちも同じなんだから良いんじゃない」「何曲位やるのかな?」「1曲に全てぶちこんで延々とやるのかも?」「持ち時間が1時間しかないけど、コード抜かれるんじゃない?」「宇宙船から降りてきてバップガンをぶっ放すのは、会場からして難しいかもしれないけど、サーノウズとは戦って欲しい」「否、サーノウズとの戦いは、もう終わっているんじゃなかったっけ?」などなど、この激論が楽しい訳です。「だいたい何人エントリーされているのかな?」「一説によると24人らしい?」「何人ステージに乗るかな?」「ジョージ・クリントン次第じゃないかしら?」「うーん、楽団にメンバーがたくさんいすぎて名前とお顔が結びつかないよう!」

とりあえず、名前とお顔が結びついたみなさま・・・(Sistaさまありがとうございます)
ジョージ・クリントン(vo)
ゲイリー・シャイダー(g) スターチャイルド、シーツのオムツは多少ゆとりがあるようで良かったです。
マイケル・クリップ・ペイン(key/vo)
ライジ・カーリー(b)
フランキー・キャッシュ・ワディー(ds)
ロバート・ピーナット・ジョンソン(vo) 麦わら帽子で目立っていました。
アンドレ・フォックス(g) ファンクと結婚した花嫁様、ベールに包まれているから、お顔が四角くなったかと思った。
ショウナ・ホール(g) 女性だったんですね。
ダニー・ベドロシアン(key) ロッキッシュなソロがファンカデリッック色濃厚。
ベリータ・ウッズ(vo)
スティーヴ・ボイド(vo)
ジーン・プープー・マン・アンダーソン(vo/dancer) プープー・マン大活躍でした。
カルロス・サーノウズ・マクマレイ(dancer)・・・・・
Cosmic Slop / Red Hot Mama / Give Up The Funk / Up For The Down The Stroke / P.Funk / Flash Light / Atomic Dog /・・・・・(公式サイトに全メンバーと全曲目が出ています)

 今年はジョージ・クリントン&パーラメント/ファンカデリックという事で、昨年同様、追加で決定というアナウンス。この日は4つのショウを通じて本物のGROOVEを見せてくれた。しかもNHK BSで放映してくれたことについて、この英断に心から敬意を表したい。7年ぶりの来日ということらしいが、およそ10年毎に来るPファンクの大波である。約1時間程度の演奏時間に凝縮された超重量級のファンク。こうしてライブで体感したものが、しばらく経って自分の中で熟成された頃に、また楽しめるというのはなかなか良いですネ。

 パーラメントのGive Up The Funk, Flash LightやファンカデリックのOne Nation Under a GrooveといったTop40ヒットやR&BでNo.1となった Knee Deepなどは、普通にラジオやディスコでかかっていたので、良く記事に出てくる「俺達の曲は、あまりラジオでかからなかった」というのは、若干、違和感があった。かつて、糸居五郎氏のソウル・フリーク(JOLF)では、Pファンク・アースツアー特集なんてやっていました。その辺から入ってPファンクを掘り下げてみると、まあ、さもありなんといった所か。NHK BSの放送時間も14分程度だった。でも、NHKは良くやってくれたと思います。

 彼らが関わるバンドは、70年代には年に1枚どころじゃないペースで大量のアルバムをリリースしたが、どれも如何ともし難い魅力に溢れていて、今もアルバムが再リリースされているのは嬉しい限りであるし、マイスペのスケジュールを見てみると、今も精力的にライブを続けている様で、このライブツアー指向といった所が、ある意味、ロック的でもあります。
 Pファンクは、曲は聞き込んでいても、どうも、彼らの世界観を理解することが難しい。パーラメントの場合は、コミックを交えたギミック的な要素など、特徴的なキャラクターを用いたファンクの表現を通じて、ジョージ・クリントンの思想と哲学の伝道を理解することができるが、(勝手にそう理解した気になっているだけだが)、当方が不勉強なせいか、ファンカデリックの本質が今まで良く理解できなかった。

 今回、ホーンセクションが無かったのは残念だったが、その分、ファンカデリックの持つサイケデリックな側面が如何なく発揮され、少しその境地に近づけた様な気がした。ジャズフェスということもあったので、2004年のグラミー賞(WOWOW中継)のFUNK IS BACKのパフォーマンス、もしくは同じく2004年モントルーのライブの様な円熟味を醸し出す様なショウを演ると思っていたが、思う存分アンダーグラウンドにやってくれたのは感激だった。音楽と人間だけであれほど表現してくれたとは・・・ちなみに、会場のS席以降は大歓声で総立ち、ノって踊るというより強烈なステージに茫然自失となっていた諸氏多数。当方、最後は硬直状態。意外と若いファンの方が多かったのはうれしかった。一方、当日の他のアーティストのファンの方と思われるが、想定外のものを見てしまったのか、初めて体験したファンクの極まりない臭さに退散する人も、数名、お見受けした。
 
60年代末から70年代前半のカウンターカルチャーとしてのサイケデリックロック、そのカウンターカルチャーとしてのファンカデリックが、今も続いているのだろうと勝手に解釈している。
この日、このライブ会場に来た方の大多数は、みな彼らのファンクを求めて集まってきたのだと思う。
ぜひ、また、日本で、彼らの長尺ライブが実現して欲しいものである。