Live Report 2009年7月10日 六本木・ビルボードライブ東京 スリー・ディグリーズ ライブレポート オールドプレイボーイ諸氏には、馴染み深いスリー・ディグリーズ。アルバム「荒野のならず者」のジャケットには、少なからずドキっとさせられたものだ。この日のファーストステージでは、CS放送のフジテレビネクストでのライブ中継が入った。現在のスリー・ディグリーズのTV中継というのも、感慨深いものがある。全盛期も来日すると良くTV出演していたものだ。さすがフジテレビネクスト。僕の周りは、みなチェックしていましたよ。帰宅してから見たんだけど、なるほど、ファーストとセカンドは曲目が違ったんだ。ちなみに、CS放送のフジテレビツーでは「夜のヒットスタジオ」で当時(75年)のスリー・ディグリーズの出演が放映された。さすがフジテレビツー。 現役の女性ボーカルグループとしては、最も芸歴の長い部類に入るだろう。現在のメンバーは、ヴァレリー・ホリデイ、ヘレン・スコット、シンディ・ガリソンの3名。 全盛期からのメンバーがヴァレリー・ホリデイ、76年に脱退したフェイエット・ピンクニーと交代で復帰したのが、60年代に参加していたヘレン・スコットで、アルバム「恋にアタック」から参加。シーラ・ファーガソンは86年にソロとして独立、現在もイギリスで活躍中。何回かメンバーチェンジの後、90年から参加したのがシンディ・ガリソン。ところで、悲しいお話となるが、オリジナル・メンバーで、全盛期のアルバムジャケットの写真ではアフロヘアがきれいに決まっていたフェイエット・ピンクニーが6月27日死去した。謹んでご冥福をお祈りしたい。 スリー・ディグリーズのショウは、エンタテインメントの王道を行く様なショウなので、シックに着飾った女性ファンが多い。「天使のささやき」の人気は根強いといった所か。そう考えると、ファン層といったら50代中心となる筈なんだけど、思ったよりも観客の年齢層が若い。20代から30代と思える方達も数多くお見受けした。数多いコンピレーション盤やベスト盤が重要な役割を果たしているのだろう。近年、PIRは盛り上がっていて「ラヴ・トレイン〜フィリー・ソウルの全て」といったコンピレーションや「エッセンシャル」といったベスト盤のリリースだけでなく、ライブ・ツアーも行っていた様で、USではアトランティックシティでのライブDVDがリリースされている。これにはスリー・ディグリーズも出演、T.S.O.P.やAin't No Stoppin' Us Nowで華を添えている。 70年代初頭のケニー・ギャンブルとレオン・ハフが具現化したメッセージ色の強いフィリー・ソウルの中で最もポップで華やかだったのがスリー・ディグリーズだった。画期的だった日本制作の作品はもとより、PIRを離れてからも、ジョルジオ・モロダーのプロデュースした作品で復活してイギリスでは不動の人気を確立、MFSBの「愛はメッセージ」がハウスで復活と、延々と最前線のポジションが続いている。Legacyで名曲は大切に育てて欲しいものだ。 ・・・といった所で、ピーチズ&ハーブの「シェイク・ユア・グルーヴ・シング」Shake Your Groove Thingでステージに登場。シンディがリードを取って「恋にギヴアップ」Giving Up, Giving In、イギリスでの活躍が本格的になった頃のヒットで、日本でもシングルリリースされてディスコヒットとなった。続いて、同様にシンディがリードを取り、アルバム「世界の恋人」に収録されていて日本ではシングルカットとならなかった「私は片想い」Get Your Love Back、華やかなコーラスワークが際だつジャンプナンバー。 彼女たちは、肩の力が抜けた感じでノリが良く、情感豊かなハーモニーが遺憾なく発揮されていた。ヴァレリー・ホリデイのボーカルは、シャウトもバラッドも円熟味を増していたので、彼女たちのオリジナル曲「私のベイビー」「知らなかったの」「ミッドナイト・トレイン」「ドゥ・イット」あたりも演って欲しかったナ・・・という所で、オールドプレイボーイ諸氏の拍手とともにスリー・ディグリーズは去っていった。
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